英語学習にはシャドーイングと音読!とはよく言われます。
英語を口に出すのが大好きで、暇さえあれば小声でブツブツシャドーイングしたり、音読していた私が、シャドーイングと音読のすごさを本「シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学」門田修平著で学んだので、実体験や感想を交えながら、その内容を紹介します。
音読やシャドーイングって何がいいの?
音読すると、どんな効果があるの?
シャドーイングすると、どんな効果があるの?
効果的な音読とシャドーイングの方法を教えて!(科学的根拠も含めて)
こんな疑問を持っている人は読んでみてください。
音読やシャドーイングって何がいいの?
音読すると、どんな効果があるの?
シャドーイングすると、どんな効果があるの?
効果的な音読とシャドーイングの方法を教えて!(科学的根拠も含めて)
この記事を読んでいる途中から、あなたは音読とシャドーイングがもたらす効果にとりつかれ、すぐにでも試したくなって、近くにある英語を音読しはじめるでしょう。できれば記事を最後まで読んでから、音読やシャドーイングにいそしんでくださいね。
ちなみにこの記事の結論はこちら。
- 音読とシャドーイングは英語でコミュニケーションする上で必要な力を鍛えられるから良い
- シャドーイングでリスニング力が伸びる
- 音読でリーディング力が伸びる
- シャドーイングは、内容よりも音に集中
- 音読は、正しい意味と発音がわかる教材を使うのが大事
では、どうぞ。
本の紹介
なぜ本を知ったのか
シャドーイングについて調べていると、必ず出てくる門田修平さんの本。シャドーイングも音読も大好きだけど、今までその科学的根拠や研究成果などを読んだことがなかったので読んでみました。
こんな人におすすめ
- 対面で英語コミュニケーションをとる必要がある人
- リスニングで聞き取れなくて困っている人
- リーディングのスピード、英語の処理スピードを上げたい人(TOEICのリーディングパートで時間が足りない人)
- シャドーイングや音読は大好きだけど、その効果を知っててもっと好きになりたい人
英語でコミュニケーションをとるときは何が起こっている?
わたしは英語コミュニケーションは総合力だと常々思っています。
耳がいいだけではだめ。
読むスピードが速いだけではだめ。
単語だけではだめ。
構文だけではだめ。
発音やイントネーションだけではだめ。
相手の背景の理解も必要
自分が伝えたいことの明確化も必要
全てが一定のレベルを超えると、コミュニケーションのレベルがひとつあがる。そんなイメージです。
本の中ではコミュニケーションをとるときに何が起こっているかをわかりやすく説明してくれます。
(1)理解:話し相手の発話を聞いてその意味を理解しその上でその発話の意図を理解する
(2)思考:聞いて理解した発話の意味及び意図を元にどのように反応(返事)をするかについて考える
(3)産出:話すべき内容(メッセージ)が決まったらそれを言語化して産出する
(中略)
すなわち、日本語(母語)の場合には(1)理解、(3)産出が自動化している分(2)の思考(意味内容、概念の処理)に集中できているのに、英語(外国語)の場合は意識的に自動的に三つの処理を同時並行的に進める必要があるからです。
シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学 第1章
コミュニケーションの際には複数のことを同時に進行しており、うち2つの理解と産出の処理が自動化されていないと処理が追いつかなくなって立ち往生してしまうと本には記載されています。これは、まさにその通りだと思います。
英語で簡単な決まり文句のやり取りはできるけど、ディスカッションになるとフリーズしてしまう、という状況は多くの人が経験しているでしょう。わたしもディスカッション等で相手の意見を聞きながら、自分の意見を考えて論理立てて話すときなど、頭がついていかないと感じるときがあります。
自動化できるとコミュニケーションが楽になる、というのは納得感がある説明です。特に自分でスピードがコントロールできない、事前の準備が難しい対面でのコミュニケーションの要、リスニングとスピーキングを自動化できると良いなと思います。
シャドーイングでリスニング力が伸びるのはなぜ?
さて、コミュニケーションで同時進行が起こっていることと、これをうまく処理するために自動化することの重要性を認識しました。
本の中ではシャドーイングと音読が自動化に効果的であるとありますが、実際どんな仕組みで効果があるのでしょうか。
シャドーイングはリスニングに効果があるそうです。本の中では具体的には以下のように記載されています。
リスニングを仮に大きく二つの段階に分けると、
①知覚(perception)
②理解(comprehension)
になる。
(中略)
英語のリスニングでは①の音声知覚段階がたとえ不十分でも、推測で不十分さを補うこともしばしばあるが、シャドーイングの作業は音声知覚段階の訓練に終始するものだと考えられる。
シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学
つまり、リスニングの2つのタスクのうち、①知覚をシャドーイングによって自動化できると、②の意味を理解することに認知資源を使えるため、リスニングが楽にできるようになるということです。
本の中では副次的な効果として、
音声知覚の自動化に加えて、語彙や構文などを定着させる効果もあると書かれていました。
シャドーイングの二つの効用
①音声知覚の自動化機能:リスニングの能力向上、加えて学習者の長期記憶内の音声知識データベースを英語らしいものにする⇒リスニングの知覚段階の処理の自動化+音声知識データベースのアップデート
②新規学習項目の内在化機能:はっきりと声に出すことで語彙・構文などの新たな学習事項を内在化し、長期記憶に転送する機能
シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学 p.64
リスニングに苦手意識がある人は、どこが苦手なのか自分自身で分析してみてください。もし音をうまく聞き取るのに必死になってしまうことが原因であるなら、シャドーイングでリスニング力をグッと伸ばせるかもしれません。
音読でリーディング力がのびるのはなぜ?
では音読はどんな効果があるのでしょうか?音読ではリーディング力が伸びると書いてあります。
リーディングもリスニングと同じように、複数の段階を経て進むと考えられています。
本の中ではリーディングの簡単なモデルとして以下が紹介されていました。
リーディング
①デコーディング (Decoding)
②理解 (comprehension)
これまでの研究結果より、①デコーディングの中には以下の要素が含まれていると考えられているそうです。
(1)眼球停留 (eye fixation)による文字認知
(2)語彙処理(lecixal processing:語彙アクセス)(
(3)音韻符号化 (phonological coding)
例えばappleという単語を目にしたら、
- a p p l e というアルファベットの文字を認知して
- appleという単語を頭の中の辞書から検索して
- アップルという音を頭の中で思い浮かべる
ということです。
母国語の場合はこれが自動化されており、①デコーディングではなく②理解に認知資源を割けるということです。
シャドーイングでリスニング力を伸ばす場合と異なり、リーディングの場合は語彙処理(頭の中の辞書から該当する単語を検索する)も自動化される処理に含まれるため、意味がわかる文章を音読することが重要です。
音読をすることで、文字と音の結びつきの強化、一定の時間内で読み上げられる英文の量が増えることで音韻符号化の処理が自動化して、リーディングが強化されます。
TOEICでリーディングのパートが時間内に終わらない人は点数アップのためにまずは音読してみるのもいいかもしれません。
シャードーイングと音読の効果的なやり方は?
シャードーイングと音読がどうしてリスニングとリーディングに効果的か分かったところで、実際にやり方をみてみましょう。
シャドーイングのコツは気楽に、そして音に集中して
本で特に強調していることは3つです。
- あまりストレスをためないこと
- 素材選びを間違えないこと
- 録音によるフィードバックをすること
私見ですが、記載されていることについては私は以下のように思います。
英語の音に慣れていないうちはシャドーイングはとっても負荷が高い学習方法です。良く聞こえないし、口も回らないし、意味も分からないし、とストレスがたまってしまうこともあるでしょう。続けるためには、気楽に、ストレスを貯めないことが大事です。
継続のためにも、効果を得るためにも、自分が聞き取れる速さ、明瞭な発音である素材を選びましょう。音声に特化した練習なので、特に内容の難易度は問わないのですが、音を聞き取れても意味がわからないものを聞くのはつらいので、話されている英語の意味が分かり、興味が持てるものだとなおよいでしょう。
最後の録音の重要さは強調してもしきれません。自分の発音を批判的に聞くと細かな音やリズムに注意が払えるようになります。私自身も録音を聞くことで自分のイントネーションのくせに気付くことができました。iPhoneのボイスメモなど手軽に録音できますのでぜひ定期的に録音して、お手本と聞き比べましょう。
音読のコツは、内容理解と発音を両立すること
十分に聞いてから行う(お手本の音を)よく聞く
英文の内容理解や文構造理解してから音読する
(中略)
時間を置いて繰り返す
音読はシャドーイングと異なり、音を聞きながらではなく、自分のペースで発音します。自己流の発音となってしまわないように、正しい音をしっかり聞いておくことが大事です。自信がない場合はお手本の音に合わせて、文章を見ながら音読する(パラレルリーディング)ことも良いと本では紹介されていました。
音読ではリーディングを鍛える効果があるとされています。リーディングの下位の処理を自動化できるということです。この下位の処理には目の動きだけでなく、語彙を認知して意味を理解すること、文字を音に変換することが含まれます。つまり、意味が分かる文章を読まないとトレーニングになりません。
音読スピードは集中的に取り組んだ方が向上するが、発音の正確さやポーズの挿入については分散して取り組んだ方が評価がよかったという研究結果が得られています。発音やポーズは語彙のメンタルレコキシン(頭の中の辞書のようなもの)の中に格納されているため、時間を置いた反復が有効だからと考えられているそうです。
まとめ:今すぐシャドーイングと音読をやってみよう
門田修平さんの本からシャドーイングと音読について紹介しました。リスニング力やリーディング力を高めたいという人はぜひ取り組んでみたらいかがでしょうか。
特にシャドーイングは耳だけでできるため、リスニングに課題を感じている方にはぴったりです。個人的にシャードーイングにおすすめの教材は6 minute Englishです。
一方である程度音は聞けている、自分で話す際の発音やイントネーションにも大きな問題がない場合はシャドーイングでの学習効果は限定的だろうと私は思います。このレベルにある方はシャドーイングよりもインプット量を増やす目的で多聴、多読の方が有効だと思います。
シャドーイングと音読の教材にぴったりなのはこちらの6 minute Englishです。
コミュニケーションの最終形態、スピーキングを伸ばしたいならやっぱり英会話。
コミュニケーションは総合格闘技。自分の弱いところを見極めて、音読もシャドーイングも、いろいろな方法を駆使してビジネス英語の総合力を高めていきましょう。
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